地域:新潟県長岡市
店舗建築
店舗の内外装はお店のイメージをつくる大事な部分。店舗に訪問するお客様が滞在し、利用する。そして、商品を選び購入する場所になります。そのため、店舗の商品に合わせた意匠設計が必要になり、そのデザインの方向性は商品価値をも左右することが多いので、気をつけなくてはならない難しい建築になります。
「意匠」という意味合いでは、住宅のデザインでいつも念頭におく、ここちよさ(居住性や広く感じる)といった要素以外に、商品を装飾する機能や商品を見栄え良く見せる照明機能も必要要素として加わり、デザインの要素の中に、デコレーションという要素が加わることもあります。
また、お客様の回遊動線計画、滞在時間(回転率)計画、陳列商品の在庫スペース。レジ位置やスタッフのスペース。必要な要素は住宅のそれとも少しことなります。
その他にも住宅と異なる「店舗」ならではの建築基準法だけではない法律を遵守する必要があり、建築士としては施主様の意図と法令の間で頭を悩ませることが多いことも店舗建築の独特の要素とも言えます。
ぎゃらりい栗本
ぎゃらりい栗本様は、長岡市駅前の坂之上町で魅力ある現代工藝作家と、その作品を個展や企画展示で展示紹介する店舗です。
店舗には、本格的な志向を持ち、強い信念と崇高な思想に基づく確かな技術で作られた「碗」「茶器」「花器」「酒器」などが、整然と展示され、凛とした空気の漂う店舗です。
1989年に創業されていらい、グリーンスタイル(ダイエープロビス株式会社)は、2002年にビルのテナントに出店していたときの内装を手掛けさせていただいていました。今回は、独立した建物での出店計画をいただき、今回、設計と建設一式をお任せいただきました。
建物概要
外観意匠
高いビルに囲まれた長岡駅前。駐車場などで少し開けた空間に建築を決め、市街地の中にありながら、展示作品同様凛とした空気を漂わせ、和の趣も少し感じさせる意匠を採用しました。展示する作品を意識し、奥ゆかしさの落ち着いたトーン。そして、開かれた施設であることを同時に表現するためその壁面や大きなガラスの入り口。双方のギャップを作りながらも、暗めに塗装した和の雰囲気を醸し出す杉板でまとめ上げています。
角度によって小さく控えめに見えながら、敷地、建物形状に斜めの線を活用した意匠としています。
コンパクトなサイズ感でありながらも、もともとそこにあった建物が解体され、駐車場ばかりになってきた街の中。この建物がランドマークとして、街の灯台として力強く機能していく建築になるよう願い。そして作家さんの思いを発信していく場所として機能していくことを目指し設計を行っています。
内観意匠
コントラストを強、作品を魅せる室内
全体的には暗めの色調で設え、店舗の奥に行くに従って暗さを増すように設計した室内。お客様の目を徐々に作品に引き込ませる明るさの調整しています。
暗いグレーの色調の重ね貼り和紙の壁紙に沿うように天井から緊張感ある集光型の照明が展示物を照らし、その光とのコントラストが作品そのものの魅力を引き出すようにコントロールされています。
あわせて、ナチュラルな雰囲気で流れを生み出すように角を緩やかなカーブで丸めた杉板の展示台はその色と節、柔らかな質感のすべてをもって、作品に目を向けさせることを狙った脇役に徹する機能的なデザインです。
唯一の明るい展示スペースはベージュの和紙の壁紙に囲まれた台形のスペース。もともと形状が特殊な建物の中に、施工難易度の高い形状が取り込まれ、施工技術者とともに工夫を凝らして造作されたもの。
高さと広さをつくる「黒」と疑似消失点
明るい室外の光を必要最小限な量でスリット状に取り込む窓は高さを意識させる縦長に配置。その細い光は艶めかしさとともにほのかに室内を照らす役割を果たします。
暗いグレーの色調の壁紙に対して、天井は艶のない黒。漆黒の天井が店舗の高い空間に更に高さの奥行きを加えて作品の上部の余白を広く感じさせます。
そして、そこを横切るように交わる木の色そのままの大黒柱と大梁の交点が消失点を沢山作るかのごとくギャラリーを高く、大きく感じさせる設計を施しています。
ギャラリー
Produced by TSUYOSHI ASANO 朝野 剛
GREEN STYLE Principal Architect / 朝野 剛
出身地 / 富山県
趣味・特技 / 山登り
資格/1級建築士
得意分野 / 狭小住宅、スキップフロア、吹抜、アーチや木のデザイン…and MORE>>
所在地
ぎゃらりぃ栗本様
まもなく、移転オープンです。
WEB SITE:https://gallery-kurimoto.co.jp/
(新) 新潟県長岡市城内町2丁目6-8 <Google Mapで見る>