地域:新潟市中央区
新潟市中央区市街地の新築住宅の悩みどころ
新潟市中央区という利便性の高い人気の立地。職場に近い。学校に近い。利便性が高い。
しかしながら、近隣の家とはどうしても近接してしまいます。そして、隣家の合間を縫って明るさや風を確保しなくては、どうしても暗い家になってしまうことが多いのも実情。いわゆる「規格型」の住宅では対策を取られた市街地専用のモデルでない限り、対応しきれないことが多くなってしまいがちです。
グリーンスタイルは「自由設計の注文住宅」ブランド。
自由な分、明るさや風、そして狭い土地、小さな建物を感じさせないデザインに責任を持って設計と施工を行う必要があります。
こちらの住宅では、まず、この明るさの問題の解決から取り組みました。
小さな中庭が住宅にもたらすメリット
小さな敷地めいいっぱいの幅に広げ、中央部分にコの字にデッキを見せるこちらの家。くぼんだ部分はデッキの床の中庭を設置しています。中庭が家にもたらすメリットはいくつかあります。
住宅に中庭を設置するメリット
- 奥の部屋に光を届けることができる
両隣に既設の住宅があり、間隔が少ない場合は家の中の奥の部屋が暗くなってしまいます。特に隣の家が隣接して建設されている場合には、絶望的でしょう。そういったケースでは、建物の中央に穴を開けることにより、そこに落ちる光を壁の反射なども活用しながら家の奥に届けることが可能になります。
- 室内にフレッシュな風を運ぶ
家の周囲を通る風がこのくぼみになる中庭の前や上を通過すると、周囲と中庭内部に気圧差が生じ、中庭はいわゆる「負圧」の状態になります。この負圧状態の中庭の窓を開け、中庭に面していない他の窓を開放してあげることで、中庭の負圧を満たすために他の窓から外気が取り込まれ室内の空気が中庭に抜けて家の中に風が流れ始めます。春や秋、素敵な時期の風をグリーンスタイルは大切にしています。
- プライバシーを守りやすい
屋外で洗濯物を干す。気になるのは外からの目。洗濯物はあまり人に見せたいものではありません。
ちょっとランチをする。これも外の往来が多ければ、気になってお家時間を楽しむなんて気持ちにはなれません。
囲われた中庭は、広さはさほど大きくできないかもしれませんが、しっかり充実した、外にいながら外を気にしない時間を過ごすことができることは大きなメリットですよね。せっかく建てた家。外でも充実した時間を過ごしたい方にはオススメです。
住宅の中庭を設置するデメリット
一応、メリットだけでなく、デメリットもご紹介いたします。
- 形状が複雑になり、コストがかかる
中庭のくぼみをつけた分、外壁の面積が増えますので、どうしても、建築コストが増えてしまいます。
- 形状が複雑な分のリスクも発生する
外壁の形状が複雑になり、真四角の家ではなかった入隅ができ、施工時に注意しないと雨漏りなどのトラブルが発生するリスクが生じることもあります。
- 家の床面積が減り狭くなり、動線が崩れることも
中庭の分の面積を室内から取られる分、お家の中の面積を削らなくてはならないので、上手に設計士ないと、ちょっと部屋が狭くなります。また、中庭を挟んだ家のつくりでは、家事や家族の動線にまとまりがなくなることもありますので、上手な設計士に相談するのがオススメです。
- 庭のお手入れが必要になる
庭を楽しもうという方には不要な心配ですが、草むしりなどの面倒は発生してしまいます。こちらの建築実例の家は、そういったことも加味して、フルに木材風のデッキで埋めています。
中庭をつくった外観
開放感と「家が楽しい」雰囲気をつくる
どんな家なのだろう?と想像を膨らませたくなるような外観。
玄関以外の大きな開口と、白い箱を組み合わせ、高さを変えた外観はリズミカルで「家で過ごすことが楽しそう」な印象を外観からもつくります。
こちらの家は、市街地に建設され、北・西面を2階建ての隣家に囲まれ、東は交通量の多い道路だったため、南に車を駐車することを計画。この道の向こうはもちろん住宅が立ち並んでいますので、家の中での過ごしやすさを優先課題として考え、中庭を採用しました。
中庭は、ウッドデッキで埋め、室内と高さを一致させて連続面とし、中庭で減ってしまった分の室内面積を視覚的に補います。
中庭の広さには限りがあるので、チェアの代わりに室内の畳コーナーを一段上げ、これを、中庭のチェアと併用できるように設計しています。
実は、リビングは囲まれた中庭の向こう側。そのため、夜もリビングにカーテンは不要なことが大きなメリットにもなります。カーテンやブラインドがないことで、収納時に目につくカーテンやブラインドを設置する必要もなく、室内にホコリが発生しにくいこともメリットになります。
室内からの中庭の景色は床の延長
中庭が室内の面積を専有してしまったというと、床面積としては減少してしまっている分は確かにあります。こちらのお住宅では、室内の面積を減ったように感じさせないように、中庭のデッキを室内の高さと同じくすることで、狭くなったことを感じさせず、空間の連続をデザインしています。
階段も開放感をつくる
階段は中庭への連続面を損なわないようにストリップ階段を採用。手すりを兼ねた縦のスリットが印象を加えます。実は、このスリットは、正面からリビングが見えないようにする目隠しの効果と、デザイン的に、階段上部を吹き抜けのような高さを感じるデザインを兼ね、縦の線を多く作っています。
中庭の家ギャラリー
Produced by TSUYOSHI ASANO 朝野 剛
GREEN STYLE Principal Architect / 朝野 剛
出身地 / 富山県
趣味・特技 / 山登り
資格/1級建築士
得意分野 / 狭小住宅、スキップフロア、吹抜、アーチや木のデザイン…and MORE>>