設計士 施工担当
小林 優希Yuki Kobayashi
出身地:新潟県柏崎市
設計士 施工担当
出身地:新潟県柏崎市
大きな窓、そこに映る自然の風景が見えるような家。
芯からリラックスできる空気の家が私の好みです。
今は、アパートに暮らしていますが、柏崎の実家の窓から見える景色、山々がとても綺麗で気に入っていました。
古い家なので、ほかはボロかったですが...。
いまでも、ふとした瞬間に思い出す光景です。
グリーンスタイルのお客様の家に携わると、こういった「窓の向こう」にまで考えた家づくりをご提案させていただくことも多く、施工中で壁紙も貼っていないまだ暗い室内から明るく輝く切り取られた景色を見ながら羨ましく思ってしまいます。
ただ、単純に大きな窓を設計すればいいわけではなく、お隣やお向かいさん。裏手の家、道路の交通量。高さ、大きさ。開き方。そして部屋の用途。「窓」は単純ではないのですが、奥が深くて面白いですよ。
小学校のころです。通学路の脇にお寺がありました。
古く、小さなお寺でした。
そのまた隣にちいさな作業小屋があり、小屋の中で、大工さんが作業をしていたのです。
今思えば、この大工さんは「宮大工」といわれる職人さんでした。
わたしは、宮大工が仕事をしているその数日間、夏休み少し前の期間、帰り道が楽しみになりました。ちらちらとワクワクして覗き込んでいました。
セミの声がいつもより大きいある日、その小さな作業小屋に誰もいなかったことがありました。
小さなわたしは、息を止め、音を立てないように。仮組みの華奢な音を立てる柱に体を預けました。そして小さな入口へ首から上をのばして深く、小屋をのぞきました。夏の景色から小屋の暗さに目が馴染んだ頃、作業台の上に、艶めかしく光る刃物が浮かび上がりました。その種類の多さに目をうばわれ、薄暗い空間に光る刃の光が見え始めたそのとき。
セミの声をかき分け、「見たいか」
その人は、キレイな指先で色々な道具を触り、持ち上げました。その道具と使い道についてのすべてを説明するつもりは全くなさそうに話してくれていました。そもそも、当時の私にはちんぷんかんぷんでしたので、今もまぁ、それが優しい声だったか、重たく低い声だったか、ほとんど思い出せません。
知らない人に話しかけられた恥ずかしさ半分と、おおきなおじさんに教えてもらっている緊張感半分で能力の100%が稼働した状態になっている私。宮大工は、恐らくあきらめ、「カンナ」掛けの作業に戻り、数秒後。スルスルと伸びたかんなくずを小さな私の手にのせました。そしてセミの声に負けるような乾いた音をだす鉋がけの作業にもどりました。
その薄くなった木の匂いは今も思い出します。
気づけば、夏休みが終わり、そのお寺の屋根は、真っ黒の瓦で空を切り裂くようにしなやかな弧を描き誇らしげに、立派なものになっていました。
実は、当社に入社するまで「現場監督」という職種があることを知りませんでした。
宮大工に見せてもらった作業はありませんが、実に多くの種類の工事があることをしりました。それをトータルでコントロールするのが、今の私の仕事です。
当時の夏休みの間、宮大工と交代して屋根瓦の職人さんが入って屋根を仕上げたんだな。
今ではこう理解できるようになりました。
そして、それが、屋根の葺き替えかなんかの工事だったことも。
グリーンスタイルの施工管理はチーム制。各現場に一人、メインで担当させていただく者の他に、複数人のチーム・メンバーが、より良いお家づくりとなるように、現場を確認し、意見を出し合っています。チーム制をとることで、一人1棟を管理するよりも多くの現場を見て回れるため、経験をたくさん積むことができます。施工管理の先輩と意見を言い合える現場の雰囲気は、働きやすく、自分の成長にもつながっているなと感じられることが、この仕事のやりがいと魅力ですね。そして、施工現場では、職人の皆様に教わることも多い。ちょうど、かんなくずを手にのせられるように。
そんな職人の皆さんに、現場をきれいにする活動を手伝ってもらったり、お客様のためにできることを探したり。設計士として他の設計士と連携してお客様とお話をし、職人さんに伝えて。職人さんから「もっとこうしたほうがいい。」と意見をもらって。日々は変化と改善。
つまらない、なんて感じることもなく、クリエイティブな毎日です。そして、自由です。
たぶん、他の仕事にない魅力。だから先輩もずっとこの仕事を続けているのだ。最近良くわかるようになりました。
家を建てる仕事。
お客様の生活をつくる仕事。
さらに、それがさらに「ここちよく」
そうなるように考えるのが私の仕事です。
私は、何回も家ができあがっていく姿を見ています。
これが「初めての家づくり」なはずのお客様には、わからないことが、いっぱいあるはず。的確にアドバイスができなくてはならないと考えています。
生活動線の調整のためのコンセント位置。カウンターの高さ。図面ではわかない補足事項でフォローさせていただけるよう、柱の場所、配管の場所。電気の場所を掌握し、より「ここちよい」ライフスタイルをつくります。
細かなことですが、室内の出っぱりや段差、現場の処理で回避できる日常生活の危険というものがあるようにあります。動線上に存在するたカドを丸める。切りっぱなしでざらついた面をなめらかにする。これらがその代表です。図面では見えないところで、お客様にご迷惑をお掛けするかもしれないものに気づき、見つけ、皆無にするのが私の仕事です。
そして、今年から採用した最長60年の長期保証。
計算上これに耐えうる家ですが、図面上の話をキチンと建物に反映できていないと、保証なんてできなものです。だからこそ、どこも手を抜いたりはできません。
ながく、暮らす家。これが私たちのつくる家です。